第2回「経済学と経営学、どう違うの?」

私は2年間兵庫県豊岡市に単身赴任していましたが、2023年3月に自宅がある大阪府堺市に戻って参りました。4月からは大阪経済大学で、財務会計論や管理会計論の授業を担当いたします。
第1回は、「マズローの欲求段階説」について学びました。経営学の領域で、なぜ心理学の欲求段階説が関係してくるのでしょうか?

経営学とは??


 経営学は、ヒト・モノ・カネ・情報をどのように調達し、どのように配分し、どのように組み合わせるのかを学ぶ学問領域です。これらは、経営に不可欠な4つの資源です。

その中でも、最も重要な資源はヒトです。

そのため、心理学は経営学に様々な影響を及ぼします。具体的には、マーケティング、社員の動機づけ、教育・研修・就職などに影響を与えています。今後、これらを詳細に学ぶ機会を設けてまいります。

経営学と経済学の違い


ところで、そもそも経営学と経済学は、何がどのように違うのでしょうか?例えば、社会科学系の領域を持つ大学では、経済学と経営学という授業があります。また、経済学部の中に経営学科という部署があったりします。経済学部と並行して、経営学部や商学部がある大学もあります。


 英国では1760年代から1830年代にかけて、蒸気機関を活用した産業革命が起こりました。この産業革命を経て、経済的現象を説明する経済学が登場しました。そして、経営学はさらに遅れて、経済現象の主体である企業を分析する研究分野として確立しました。


 経済学では、市場が企業(生産者)、家計(消費者)、財政(政府)によって形成され、企業は市場を構成する経済単位の一つと見ます。そのため、経済学の主たる研究対象は市場で、企業はそれを説明する手段でしかありません。


 一方で、経営学は労働・資本・原材料などを生産要素と見て、生産力に結びつけ、企業行動の原理を解明する学問領域です。そして、市場で利益を上げながら存続する組織として、企業を捉えます。また、ヒト、モノ、カネ、情報という経営資源をどう調達し、どう配分し、どう活用するのかを考える学問領域になります。

人間の活動のとらえ方が経営学と経済学の違い


 経済学では、合理的な経済人を想定し、少しでも利益や効用が高まると、人間はそれを選択する経済合理的存在と考えます。

また、人間は自分の生活を豊かにするために、最適な選択をするはずであるという前提に立っています。しかし、経営学では、人間関係や動機(モチベーション)など非経済的な要素も重要と考えるので、とても人間くさい学問領域であり、またそれが面白さでもあります。


しかし最近では、経済学の分野でも行動経済学やゲーム理論など、従来の経済学の考え方とは異なる人間の心理を研究題材にする学術領域が出現し、経済学と経営学の境界が曖昧になって来ています。次回は、「企業は誰の物なのか?」を学んでまいりましょう!

福嶋幸太郎 ふくしま こうたろう

著者:福嶋幸太郎 1959年大阪市生まれ。大阪ガス(株)経理業務部長、大阪ガスファイナンス(株)社長を経て、大阪経済大学教授(現任)、経済学博士(京都大学)、趣味は家庭菜園・山歩き・温泉巡り。